History みるぽわの歴史とキッカケ
子供~学生時代
洋食というご馳走が、
いつも身近にあった。
物心がついたときには、両親が営む「グリル うた村(1993年移転、現・グリル まどか)」が身近にありました。
学校帰りにお店へ寄って、家の鍵をもらってから帰る毎日。
お客様のわいわい楽しそうな声、デミグラスソースの香り、鍋から上がるやわらかい湯気、小気味よい包丁の音…。
「昔懐かしい、町の洋食屋さん」が、自分の日常でした。
将来の進路は、
迷うことなく料理の道に。
身近なのに特別、家庭の味でありながらご馳走でもある。そんな洋食の魅力を日常に感じていたことから、自然と料理の道を目指すようになりました。
その後、料理の専門学校へ2年間通うことになります。
修業時代その1
堅実な修行で、
着実に研鑽を続ける日々。
専門学校卒業後、紹介されたホテルのレストランへ就職します。
皿洗いから始まり、前菜を任されるところまで技術を磨きました。
その後は、イタリアンレストランのチェーンに店に就職。料理長にまで昇りつめ、閉店になるまで勤めあげました。
“自分の料理”を磨くために、
父の店の外へ。
そのタイミングで父から連絡があり、実家の店へ戻って手伝いをすることに。
昔ながらのやり方を丁寧に守る父に対し、「新しいことに挑戦したい」「自分の料理を目当てに来てくれるお客様との縁を結びたい」という思いが膨らんでいきました。
まだまだ学びたい気持ちが大きくあったことから、再び外へ修行に出ることになります。
修業時代その2
言葉の壁が、意外な障害と
なって立ちはだかる。
実家の店を出たあとは、イタリアンレストランで再び修業の毎日です。
調理に携わるためには、「イタリア語のコミュニケーション」が必須でした。言葉の壁があるおかげで、任されるのはホール業務ばかり。悔しい思いをする日々でした。
負けず嫌いな性格が、
新しい道を拓いてくれた。
必死に食らいついているなかで、それを評価してくれた方から、新店オープンに伴う引き抜きの話をいただきます。
タイミングを調整しながら、オープン数ヶ月後に当該のフランス料理店へ就職。再び調理業務に携われるようになりました。
キッチンミルポワ
(花車ビル店)を開店
お客様との関係を築く、
初めての自分のお店。
修行の経験を活かし、いよいよ自分の店を持つことになります。
縁あって「うた村」の跡地に近い場所で、2010年に「キッチン ミルポワ」をオープン。
かつて看板メニューだった「牛ロースたまり焼き」を出していたものの、うた村との関係は特に公表していませんでした。
しかし、過去の常連さんから「これ、うた村のメニューだね」とお声かけいただきます。料理がどれほど人の思い出に残るものなのか、強く実感する出来事でした。
経営は順調、
ならばさらに過酷な課題へ。
うた村の常連さんが通ってくださるのはありがたいことでしたが、やはり、次の世代に「自分の料理を目当てに来てくれるお客様」との関係を築きたいと強く思うようになります。
一方、店の経営は順調でした。
ランチ時は大行列。店内を拡張しましたが、それでも足りないほどのお客様がいらっしゃいます。
こぢんまりとした店舗だったので、すべて自分でこなせてしまえる環境でした。
そこで、「じゃあ、一人で回せないくらいの店にしよう」と思い立ちます。
キッチンミルポワ
(名駅イーストビル店)へ移転
次のフィールドで、
試行錯誤と挑戦の繰り返し。
お客様から空き店舗をご紹介いただけたことをきっかけに、2014年、現在の場所へ店舗を移転。
以前の店より規模が大きく、「こんなに思い切った規模のところで、本当に大丈夫?」と、多くの方に心配されました。
結果、経営は好調。予想以上にたくさんの方に来ていただけました。物理的に大きくなったことで、貸し切りのパーティといった新しいご要望にも応えられるようになります。
理想の店を実現する傍ら、
新たな課題に。
より多くのお客様に対し確実に、おいしく温かい料理をお出しできるよう、オペレーションやメニューを効率化。2021年にはレトルト商品の販売も始めました。
「お子様からお年寄りまで、多くの方に喜んでもらえる洋食」というひとつの理想が実現した一方で、個人に合わせたサービスが難しくなったと感じるようになります。
洋食みるぽわ
お客様と向き合って、
おいしいものを届ける。
「自分の料理を目当てに来てくれるお客様」との関係は、“人対人の繋がり”にあります。
そこには、「お客様ひとり一人の顔を見て、お好みに合った料理で喜んでもらう」という、かつて身近にあった、料理人としての原点とも言える光景がありました。
常連さんとのコミュニケーションに重きを置いた、新しい店舗をオープンする決意を固めます。
原点回帰の理想を込めた、
新しいスタート。
偶然、京都に足を運ぶ機会があり、そこでの市場調査を活かして、高級感のある石造りのお店へとコンセプトを定めます。
キッチンミルポワと一緒に年齢を重ねてくれた方が、料理をゆっくり楽しめる場所。
「身近だけど、ちょっと贅沢」な洋食の良さを、ワインと一緒に味わえる空間。
そして、2023年2月、「洋食みるぽわ」をオープンしました。
Profile
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洋食 みるぽわ オーナーシェフ 高下 哲矢
洋食屋を営む両親のもとに産まれ、幼いころから「子供から大人まで楽しめる、身近でありながらご馳走でもある洋食」に慣れ親しんで育つ。「キッチン ミルポワ」「洋食 みるぽわ」のオーナー。2007年にワインソムリエの資格を取得し、料理に合わせたワインのご提案も得意。